得ることと捨てること

新たな土地に移住してからまだ時は浅く、周辺の地理を把握している途中だ。


風の旅人のゲームを遊んでいると、昔からの夢というか、理想の人生を画面の中から鏡のように映し出されている気分だ。


私の周りの組織は死んではいない。

まだ生きているから、生きるため虚空をかすめる記憶の破片になっているわけじゃない。


ふと、以前のお店に務めていたときの理由を一つ思い出せたのは、体の弱さ故に、常に医薬品が買える環境の元で働ける安心感だった。実際に、働きながらすぐ薬が必要になる場面は多かった。



私はいつだって保身的な理由から動機が生まれた。



他人に尽くそうとはなかなか思いつかない。何か将来的にプラスになりそうな相手だなと思えなければ手を差し伸べられない。

一瞬で現れては去っていく客という存在に対しポジティブに受け入れるのは、結局のところ2年間を通しても不可能だった。



風の旅人。


私もできるものならば、もうちょっと体が丈夫で、ふてぶてしい人間であったら、無我夢中で地平線に向かって歩き続けていられたのかもしれない。



難しい。


私はこの先を見つめ直し続けている。


一度きりの人生。



何をしよう。人並みのことができないけど人ができないことがしたいという非現実的な願望。

覚えることだけならどんなジャンルでもいとわない。



付属する集団を求めるのか。



難しい。


世の中、余程の奇跡が重ならなければ、理想は遠い夢の彼方なのだろう。




最近の体調的に、もしかしたら今後も薬の販売に携わらなければ、厳しいのか。



お金はルール上では確かに必要ではある。

いくらぐらいとか、他に関わる人間と相互にかかる費用を考えると…。


私は家族とは元々疎遠だ。


力と知恵と運。合わせた実力で残りの人生を生き残らなければ…


やっと趣味に興じる余裕は少しできた。時間があればいいわけではない。


改めて履歴書を書いたときは、ちょっと特殊なのかもしれない。と思った。


生きる意欲のない学生時代。

誰からの関心なくして自分を育てるために興じた時代と、不思議なご縁で結婚やら友人やら同期の人たちに恵まれた時代。


次はなんだろうか。


家はとても大きく、毎日整え続けている。

物語の序盤を目の前にして、画面をタップし続けるだけとは違う、本物のRPGを作っているかのようだ。


まるで旅の扉を抜けた新世界のこの土地は、まさに別世界。


旅行だけでは分からない。本当の旅路の価値は、特徴探しよりとある土地そのものに同化できるかにあると思う。


もし、生涯を通してかつての幼少の頃の地で生きることにしていたとしたら、安心感はあるかもしれないが、狭い鳥かごの中で、それこそ慣れた止まり木に止まったまま飛ばなくなってしまったかもしれない。


今の時代、他の世界の見聞はたやすいが、逆に今このときまで文明が発展していても、遠くへたっていくのは成し遂げ難いものだと思う…。


ある意味一つの人生の目標は達成した。

つぎはぎの学歴及び能力でも、いい。


生き方次第。



安定は二の次。

次に私は、楽しいと感じることがもうひとつ欲しい。

関心を持ち続けたい。


今一度視界に彩りが戻るのならば。

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